2005年12月03日

胡蝶の夢

 荘子が蝶になっていた夢を見る。ふと目が覚めるが、自分が蝶になった夢を見ていたのか、蝶が荘子になった夢を見ていたのか、どちらなのかわからない(胡蝶の夢「荘子・斉物論」)。

 ウルトラマンマックス第22話「胡蝶の夢」では、"21世紀空想科学特撮シリーズ・ウルトラマンマックス"の脚本家・蓮沼(石橋蓮司)が主人公だ。劇中、彼が描くウルトラマンマックスの世界と彼の居る現実世界が交互に入れ替わり交錯する。彼の見る夢がウルトラマンマックスの世界なのだが、夢のハズなのにいつの間にか自分が夢の中でカイトとして振る舞っている。物語の終盤、遂に蓮沼は「夢の世界」のカイトになり、カイトは「現実世界」で蓮沼となってしまう。蓮沼が夢の中の怪獣作家に示唆を与えて誕生した無形怪獣「魔デウス」が「夢世界」(マックスの世界)を蹂躙する中でカイトと化した蓮沼がマックスとなり、怪獣を倒す。

 ・・・とまあ、無理にシナリオを要約してみたわけだが、この訳の分からない世界をおどろおどろしく描いた監督が鬼才・実相寺昭雄監督である。「恋するキングジョー」のエントリで登場を期待したい、と書いた、ウルトラシリーズには外せない監督である。

 ある意味安っぽい三原色の照明、作り物の蝶々を飛ばせる演出、しかしディティールにこだわった作家蓮沼の部屋。全編を彩るパチンコ屋のノイズや逆に戦闘シーンでは効果音を排するという音響。独特のライティングや登場人物を真正面から捉える構図などなどは実相寺イズムが健在であることを示していて、そのシュールな世界にすっかり引き込まれた。

 全く無機質な(オモチャ化できない^^;)怪獣魔デウスも秀逸。それから、こういうストーリー重視のシナリオでは主人公がウルトラマンに変身して怪獣と戦う途端に、それまでのストーリーからの乖離が作品を「怪獣モノ」へと引き戻し興醒めする面が無きにしもあらずということがある中で、劇中に「怪獣モノの世界」を設定することでその点を上手く回避していて、をこういう見せ方があるか、と感心した次第。しかし、遂に主人公以外に変身させてしまうとは・・・。

 ディティールの中では、「名前から発想しますか。天才金城哲夫的ですね。」という台詞をやはり上げておかなければ。金城哲夫氏は、ウルトラシリーズの生みの親的脚本家だが、僕にとってはどうしても悲劇の脚本家であり、セブン最終話「史上最大の侵略」(あのソガの台詞・・・)の脚本家というイメージが強い(金城哲夫論として、東北大SF研OBのエッセイを見つけたのでリンクしておく)。その名前が実相寺作品に出てきたということの意味は・・・。セブンの名作「狙われた街」も金城哲夫氏のシナリオだった。これも一つのオマージュ(というより哀悼)なのかもしれない。魔デウスに取り込まれたマックスが腕を交差させて回転するシーンもまた、デジャブを感じた。

 というように、至極満足な一本だったが、当然ながら5才の息子には、訳が分からず「怖い」一本だったようで、いつもなら毎日録画したマックスを見せろとうるさいところが、今回に限っては一度も言わなかった(笑)。「第三番惑星の奇跡」のような破壊され尽くした街という映像の怖さではなく、人間の描写の怖さにおびえていたらしい。さもありなん。怪奇大作戦というところか。

 こういう話をよくぞ映像化したと変な感心もしてしまうのだが、これまでのお笑い系のストーリーとともに、全体としてマイナーな本数であって、王道のストーリー(勧善懲悪怪獣退治)があるからこそ、こういう異端的な話の面白さが引き立つ。

 実相寺作品は、もう一本、第24話「狙われない街」で、これも楽しみである。その前に、23話「蘇れ青春」ではイデ登場。同窓会エピソード第2段。
posted by おだまさ at 01:43| Comment(0) | TrackBack(1) | 気になるコト文系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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ウルトラマンマックス 22話
Excerpt: 実相寺昭雄監督キターーーーーーーッ!!  サブタイトルは「胡蝶の夢」。のっけから 「円谷プロダクション」 の看板が出るし、番組制作スタッフ会議になるし、ともかく今までに
Weblog: UNS digital
Tracked: 2005-12-04 15:49
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