2009年07月26日

訃報:金田伊功氏(57)

 7月22日の朝、何気なく、ケータイのニュースヘッドラインを見ていて目を疑った。「金田伊功氏、死去」。享年57歳。また一つ、偉大な才能が失われていったことが、残念でならない。

 アニメータ金田伊功氏の名を知っている人は、往年のアニメファンだろう。僕は今はもう観ないけれど、小学校高学年から20代半ばまではかなりの(TV)アニメファン、だった。絵を描くのが好きで、中学時代はセルアニメの制作もやろうとしていた(結局できなかったが)ので、アニメの中でも絵、あるいは動きに特に興味があり、金田氏はその独特な動きやアングル、カットの気持ちよさから、僕にとって一番のアニメータだった。

 70年代〜80年代、金田氏の描く動き、あるいは独特の金田パースに魅了されたアニメータ諸子が多く出てきたが、いずれも亜流あるいはより先鋭的になり、本家の金田氏の気持ちよさを超えるアニメートを見せるアニメータはいなかったように思う。ましてや、一枚の線は多くてもコマが少なかったり、あるいはCGでメカを動かしたりする最近のアニメからは、金田氏のような動きを魅せるアニメータは育ってこないのではないか。とにかく、金田氏の作画は、動きまくるというわけではないのだが、動きのタイミング、カット(パース)の格好良さの波長が合うといおうか・・・。

 僕自身、次第にアニメから遠ざかったこともあり、これが金田氏の作画だとはっきり識別できた作品は「天空の城ラピュタ」が最後になる。その後の「トトロ」では猫バスのシーンとは思うが自信がなく、「紅の豚」や「魔女の宅急便」、「もののけ姫」ではもはやどこかわからなかった。これは作品が金田氏独特のアニメートを拒否したからかもしれない。しかし、「ラピュタ」では金田氏は"原画頭"として、冒頭の海賊と市民の殴り合いの喧嘩、またラストの方でパズーが竜の巣に突入するシーンなどを作画されているはずだ。竜の巣の中でパズーが父親の幻を見るシーンなど鳥肌モノだ。

 しかし、映画で言えばその代表作はやはり「幻魔大戦」だろう。映画のできはともかくとしても、金田氏作画部分の質・量は群を抜いていて、ラストの溶岩流と化した幻魔との闘いは、動きの金田氏の面目躍如だった。格好良く描けそうにない大友克洋氏デザインの東丈ですら、格好良く書いてしまうのだ。
 
 もう一つ金田氏といえば、TVアニメのオープニング作画だ。本編という縛りがないだけに、金田氏の魅力がよく出ている作品が多いと思う。「(新)サイボーグ009」の003、「ボルテスV」の殴り合うシーン、「アクロバンチ」のナイフに写るカット、「ブライガー」や「モスピーダ」のメカの動き。古いビデオを引っぱり出して見たいところだ・・・。

 さらに本編作画では、若さのエネルギーが満ちあふれていた「ザンボット3」や「ダイターン3」も、金田氏担当分の凄さは他とは比べモノにならないものだった。

 57歳という若さで心筋梗塞のため亡くなられた金田氏のために、アニメ関係者有志が、「金田伊功を送る会」を企画されているそうだ。8月30日に東京での開催で、発起人リストを見ても、監督や演出家に転身せずに一アニメータとして生涯を閉じた金田氏の存在の大きさがわかる。

 心からご冥福をお祈りします。
posted by おだまさ at 00:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 気になるコト文系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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