2006年03月28日

地球壊滅の序曲〜つかみとれ未来

 ウルトラマンマックス最終二部作、あるいはその前の「星座泥棒」をプロローグとして加えて、最終三部作というところか。予想を上回る完成度の結末だったと思う。

 地下空間に住むもう一つの地球の住人デロスが人類による地球環境破壊の影響で滅亡の危機に瀕し、そのために人類へ全地球上の経済活動の停止か滅亡かの二者択一を迫るという筋が縦糸。地中から照準を合わせたバーサークシステムにより地球上の全UDF基地が破壊される展開は、どうしてもセブンの「史上最大の侵略」を思い起こさせる。セブンの場合はゴース星人が宇宙空間の監視網をかいくぐって地中に潜伏したという違いはあるものの、地下からの攻撃、全防衛基地の破壊、それから、変身することを制される主人公、ヒロインの眼前で変身、ラストで一列に並んだ隊員達が帰っていったウルトラマンへの思いを語る・・・僕的には、セブンの最終エピソードと形式的な類似性をあえて作りながらも、そのメッセージを実にマックスらしい明るさ、肯定感に満ちた結末にまとめたこのマックスの最終エピソードは、とても心に残るものになった。

 セブンはもはや変身することもままならないほど消耗しているにも関わらず、文字通り最後の力を振り絞って、アマギの、そして人類の危機を救い、死して宇宙へと帰っていった。キリヤマ隊長は「我々の地球は我々人類の手で護らなければならない!」(台詞違うと思うけどご容赦)という悲壮感に満ちた決意を語ったが、マックスではヒジカタ隊長はむしろ穏やかに「地球の未来は我々人間が自ら掴み取らねばならない」(それはできるはずだ)と語る。この健全な未来志向は、シリーズが謳った原点回帰、マンのそれにほかならないだろう。太陽のようなこの未来に対する明るい肯定感は、セブンのその悲劇性が三日月のような美しさを放っているのとは本当に対照的だ。

 この「つかみとれ未来」は、印象的なシーンの目白押しだった。その前にまず、オートマトン(特に涙を流している個体)や機械獣を思わせるスカウトバーサークのデザインがかなり良い。

 そして冒頭から、倒れたミズキをマウスツーマウスで救命救急するカイト。「ミズキ、還ってこい!。一緒にいるんだ!・・・ずっと、ずっと」と涙ながらにつぶやくシーン。

 デロスとの誓いを交わし、蘇生したミズキを抱きかかえ、「(マックスは100%ギガバーサークに倒されるという)そんな予測も外れになるさ!」とマックススパークを構えて変身に移行するシーン。光に包まれるカイトを見上げ「私、知ってた気がする、カイトがマックスだってこと・・・」とささやくミズキ。例によって素敵な表情で魅せてくれる。

 マックスに変身したカイトがミズキを抱きかかえ、地中世界から地上世界へと戻る途中、マックスの姿のカイトにミズキが「カイト、ずーっとマックスとして闘ってきたんだね。私達が出会ったあのときから」と語りかけるシーン。変身後のヒーローを変身前の名前で呼ぶ、というのはセブンのラストもそうだけれど、かなり重要なことだと思う。この後、始めて二人が出会った回想シーンを劇伴が盛り上げてくれる。OPのメロディラインを使わないマックスの劇伴はかなり良い。

 地上に脱出する過程でエネルギーをかなり消耗してしまい、結果的にギガバーサークに捕捉されてしまうマックス。死期(?)を悟り、「最後まで一緒に闘うんだッ、マックス!」と叫ぶカイトをマックスが無理矢理分離するシーン。

 治療室で治療を受けるミズキのベッドの横でミズキにずっと付き添うカイト。

 自分を地上に返してくれたマックスギャラクシーをマックスに届けるため、「俺だって、マックスなんだーっ!」とマックスギャラクシーにカイトが飛び込み、再びマックスと一体化するシーン。太陽エネルギーを集めてマックスギャラクシーに集約し、マックスを蘇生させるというアイデアも秀逸。

 ギガバーサークがマックスの技の前に倒れ、バーサークシステムは解除されて平和が戻る。ようやく自らの気持ちを素直に表すことができたカイトとミズキ。はにかむ二人をはやし立てるDASHの仲間達。

 そしてラスト、50年後の未来。温暖化の影響なのか海の広がる東京湾にそびえ立つ二つの像・・・マックスとバーサーク。そしてベースタイタンから航宙艦出航の景色。「私たちは未来をつかんだよ」と孫の銀河系探索への旅立ちを見送るカイトとミズキ。陽光のなか、優しく手を握り合う二人、そして机の上には、「あの時」のDASHの仲間のホログラフィー。感動的な劇伴とともに、「人類最後のフロンティア」銀河系へと旅立っていくUDF航宙艦を見送って大団円・・・。

 思わず羅列してしまったが、これまでのマックスの良さをすべて凝縮し、心温まる優しさと希望を与えてくれた名作としてマックスは幕を閉じたと思う。ストーリー展開の細かい「?」はやむを得ないとして、今のウルトラシリーズでこれくらい思い入れることのできる作品に出会えたこともまた嬉しい。これだけの作品に仕上げて下さったスタッフ、キャストの方々に感謝したい。

 さて、カイトとミズキは平成のダンとアンヌになったろうか?。決して成就されることのないアンヌの想いは、ミズキとなって叶えられた、ということだったのではないかと思う。

 後一つ、蛇足ながら、ヨシナガ教授の「ウルトラマンは勝てるかしら・・」という台詞。この(マックスは、ではなく)ウルトラマンは、というところが泣かせてくれる。

 マックス最終エピソード、ということで、マックス関連のブログにいくつかTBを打たせていただいた。どうかご容赦を。

追記(2006年3月29日)

マックス関連の幾つかのブログでリンクが張られているが、最終エピソードの脚本を担当した脚本家の小中千昭さんのサイトマックスの脚本執筆に関連するエピソードが紹介されている。とても興味深いエッセイで必読。
posted by おだまさ at 02:00| Comment(2) | TrackBack(5) | 気になるコト文系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
おだまさひろしさま
はじめまして。メロンパインです。
興味深く記事読ませていただきました。鑑賞が深いですねー。
確かに、「星座泥棒」をプロローグとして加えて、最終三部作とも言えますね。
セブンの「史上最大の侵略」との絡みも納得でした。

>カイトとミズキは平成のダンとアンヌになったろうか?
これ、すごい読みだと思いました。目からウロコが落ちる感じ──。

>ヨシナガ教授の「ウルトラマンは勝てるかしら・・」という台詞。この(マックスは)ではなく、ウルトラマンは、というところが泣かせてくれる。
これも、こうして指摘していただいて始めて気付きました。深い意味があったことに(^^)。

また来まーすd(^-^)ネ!
Posted by メロンパイン at 2006年03月29日 22:59
コメントありがとうございます。駄文読んでいただき恐縮です(汗)。
「星座泥棒」を見た後、脚本家の小林雄次さんのサイトを見て、最終エピソードにどのように「星座泥棒」が絡むのか想像できなかったんですが、オンエアを見て納得できました。

メビウスも盛り上がると良いですね。またよろしくお願いします。
Posted by おだまさ(管理人) at 2006年03月29日 23:59
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