2004年11月08日

白い巨塔 劇場版(1966年)

白い巨塔劇場版白い巨塔 劇場版 (1966年)

8月に唐沢寿明版の「白い巨塔」を見て以来、はまっている。今は近くの図書館で山崎豊子の原作(文庫、全五巻)を読み進めているところ。

そんな折り、TSUTAYAの会員証更新サービスでビデオ一本無料というのがあったので、借りてきたのが、この田宮二郎版「白い巨塔・劇場版」、つまり「白い巨塔」の初映像作品だ。

これまでの様々な映像の「白い巨塔」の評判をネットで検索してみると、主演の故・田宮二郎を非常に高く推す意見が多いようだ。ということで、リメイク版にはまって以来、旧作に興味があったので、とりあえず借りてきたのがこの劇場版、ということだ。

制作が1966年(原作は1965年)ということで、モノクロ映像に代表されるように、古さは否めない。仰々しい音楽、独特な台詞回し、登場する女性陣が着物姿等々。それでも、当時の道頓堀とか、町中を走り回っている車(スバル360とか)などが楽しいし、当時の日本の雰囲気を感じることができるという意味では貴重だし興味深い。

確かに配役は豪華で、財前五郎役の田宮二郎はハマり役だというのがわかる。傲岸不遜なギラギラ感がある。財前だけでなく、鵜飼や財前又一、船尾など、政治的根回しに長けている役柄の配役は皆、どぎつさ、濃さがある。そういう意味では、リメイク版は薄味といわざるを得ないだろう。されどそれは、作品の出来不出来というより、それが制作された時代を映したモノだと思う。

その一方、医療の善たる面を担うはずの里見の描写はぱっとせず、力量不足であったように思う。医療に対する彼の思いはリメイク版の方がじっくり描けていたのではないか。東教授も政治的根回し不足で敗れた大ボスという感じで描かれているが、リメイク版の、学究肌で理想家っぽいが俗世の権力闘争に手を出してしまい敗れた、という感じの方が原作により近いし、何故彼がガンに冒された財前の手術を引き受けたかということへの説得力になっていたと思う。

見終わるまで知らなかったのだが劇場版の物語は医療訴訟第一審までで、財前が勝訴して里見が病院を去るというところで終わる。映画でこれを見せられれば、それは文句も言いたくなるだろうと思うが、当時は原作がそのように終わっていたのだから仕方あるまい。勧善懲悪にならないその後味の悪さこそ、白い巨塔というモノの本質と言えるかもしれない。

とにかく、この劇場版の特徴は、その描写の濃さ、泥臭さにあるだろう。それを人間ドラマと見る人はリメイク版よりも良い評価を下すだろうし、クールに見たい人ならリメイク版に軍配が上がる。ウチの奥さんはリメイク版の方が面白いと行って、途中で見るのを辞めてしまったが・・・。

僕はといえば、リメイク版から入ったということもあって、リメイク版の方が好きだ。この劇場版は文庫三冊分の原作を150分の映像にまとめ上げているため、どうしても省略と説明描写が多くなってしまうのだが、やはりじっくり時間をかけて心理描写できるTVシリーズの方がのめりこめる。特にリメイク版に見られた(大げさに言えば)「死と再生」というプロットが好きである。

最後に、特徴ある作品に仕上げた配役をまとめてみる。これを見るだけでも濃さがわかるというものだ。
財前五郎・・・田宮二郎
東教授・・・東野英治郎
里見助教授・・・田村高廣
財前又一・・・石山健二郎
ケイ子・・・小川真由美
菊川助教授・・・船越英二
鵜飼教授・・・小沢栄太郎
船尾教授・・・滝沢修
大河内教授・・・加藤嘉
野坂教授・・・加藤武
今津教授・・・下絛正巳
佃助手・・・高原駿雄
東佐枝子・・・藤村志保
posted by おだまさ at 00:49| Comment(0) | TrackBack(1) | 気になるコト文系 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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白い巨塔(1966)
Excerpt: 知りませんでした。ドラマ化される8年も前に制作された作品だったのですね。 唐沢寿明と江口洋介が演じた、平成版のドラマから、この作品を知り、昭和ドラマのダイジェスト版を見たので、ラストの違いに驚い..
Weblog: のほほん便り
Tracked: 2016-05-18 14:16
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